軍扇・鉄扇とは?

古来武士には武士特有の扇があり、軍陣に於いて用いるものを軍扇と云いました。
この内親骨のみが鉄、親骨中骨すべて鉄のものを鉄扇と呼びます。
この扇には、色々と勝利の為の呪が考え出されていて、施されているものが沢山あります。
鉄扇は実戦用と云うよりはむしろ誇示的な持物となり、戦国以降上流武家の飾鎧の一具としての役目を果たすことになりました。


御月扇

天皇が月々初め内侍所御拝の時の御料扇です。月々一本ずつ作られ、明治になる迄続けられていました。

中啓、糊地 竹 黄染 親骨猫間彫り
長さ 31.5cm 幅(閉じた状態) 10cm 15本骨 江戸中期製

中啓は広げて使用するものではないが、模様は次の通り。
金箔地両朱褸入 表天橋立 裏稲穂 手描き
金箔地両朱褸入 表舞楽 裏火炎太鼓 手描き

江戸時代の扇-御月扇の扇面表御月扇その2 折りたたんだ様子御月扇その3 扇面裏

御月扇 舞楽 扇面表御月扇 舞楽 折りたたんだ様子御月扇 舞楽 扇面裏


公家の鉄扇

長さ 27.3cm 幅 47cm 13本骨 糊地網目 親骨鉄製 朱漆塗 中骨竹溜塗 江戸末製

表は天地金銀泥雲。裏銀砂子振り 尊皇攘夷の思想が勃興して、今までは身を守る物を有しなかった公家も、遂に護身の為に武士のものであった鉄扇を、その装おいこそ夏扇らしく、自らの持料に選んだ。
公家の鉄扇扇面表公家の鉄扇扇面裏


軍扇1

長さ 37cm 幅 55cm 12本骨
和紙(糊地) 竹 春慶塗親骨に紋の彫 朱色房
表は邪悪をさける金箔地に朱の日輪。裏は金箔地に銀箔日輪 江戸中期製
軍扇その1 金地に朱の日の丸、やや右寄り軍扇その1 扇面裏 金地の真ん中に日の丸


軍扇2

長さ 30.5cm 幅 40.5cm 8本骨
竹中骨留塗 和紙(糊地) 朱色房 江戸中期製

親骨木製おもだかの彫刻、おもだかは別名を勝ち草とも云ったことから、 武士が好んで用いた。
地紙は表に邪悪をさける金箔地に朱色の日輪、裏は朱地に金箔日輪
軍扇その2 日の丸 扇面表軍扇その2 扇面裏 朱地に金の日の丸軍扇その2 親骨おもだか画像


鉄扇1

長さ 31cm 幅 47cm 15本骨
親骨鉄製 波に兎を銀、赤銅の象嵌、中骨は真鍮、和紙 朱色房 江戸中期製

表裏共白地に破軍星の名を祝って、北斗七星が描かれている。
鉄扇その1 北斗七星


鉄扇2

長さ 33cm 幅 53.5cm 10本骨
親骨鉄製 中骨竹 和紙の上絹張 朱色房

親骨鉄には「非理法剣天」が彫って有り、意味は天道を欺くことは、出来ないから天道に従って行動すべきであると云う戒め、楠正成の旗印として有名である。表は邪悪をさける意のある金箔地に朱色の日輪 裏は朱地に金箔の日輪。親骨鉄には藤原義次の銘有。

江戸中期製 昭和60年に張り換。
鉄扇その2鉄扇その2 扇面裏 朱地に金の日の丸鉄扇その3 親骨


鉄扇3

長さ 26cm 幅 47.3cm 25本骨 中骨竹 和紙 朱色房

親骨鉄製、地紙は表裏共白地、折目に漆を塗って有。
戦国以降武士の常用には、形式意匠にもさまざま変化し、一見武士所用を象徴している。

江戸中期製 朱色房は現代製
鉄扇その3 扇面表鉄扇その3 柄


次は、江戸時代の扇 その2 男性持扇・九条門流夏扇をどうぞ、ご覧ください。